やぐらねぎ栽培

◎やぐらねぎは手間いらずで便利です。
ねぎ属がユリ科とは分かりづらいですが、ねぎ、たまねぎ、にんにく、ラッキョウなど、多くのよく知られた種類があります。
ねぎ栽培で困るのは、一年ねぎと二年ねぎの苗を、売る人も買う人も確かめない場合がほとんどで、その結果利用時期を間違えてしまう点です。
店で売られている軟白長ねぎは、溝を掘って植え、逐次土寄せをして軟白にするのですが、緑の分かれた部分より上に土を寄せるろ枯れるおそれがあります。プロの農家は黒フィルムを使って、土の付かない真っ白で見事な一本ねぎを生産しております。
二年ねぎを植えると、夏の7月中旬ころ葉の先端に「花球」と呼ぶ通称「ねぎぼうず」が付きます。この葉は堅くて食用には適しません。葉ねぎというのは別な品種で、緑の濃い部分を食べます。
やぐらねぎは、越冬した数本の株が急速に伸び、一番太い葉の先端にまたねぎの子ができます。ねぎぼうずの代わりです。その先に孫ともいえるねぎが生えてきます。昔の「火の見櫓」のように三段になります。種ができない代わりに、この先端を取って畑に挿すと40日ほどで発根して新しい個体となります。
トウ立ちしない脇から分かれる葉は軟らかく、常時食膳に役立ちます。堅い薬味のねぎを使われているそば屋さんは、やぐらねぎを使ってみてください。一度苗を入手すれば、軟白する手間もいらず末代物で、実に作りやすく、便利な家庭菜園向きのねぎです。
北海道新聞2007.07.15抜粋)