糖尿病の合併症予防 食事療法のポイントは

■糖尿病の合併症予防 食事療法のポイントは 食物繊維、減塩、低カロリーで満腹感
 11月は「糖尿病月間」。糖尿病総患者数が316万人(2014年、厚生労働省調べ)に上るとされる。
 糖尿病はエネルギー源となるブドウ糖の血液中の濃度(血糖値)が高くなる病気。膵臓(すいぞう)から分泌され、血糖値を適正に保つインスリンの分泌に不具合が生じるために起こる。病気が進行すると大小の血管が詰まり合併症を引き起こす。失明につながる「網膜症」、足先の感覚まひなどの「神経障害」、進行すると人工透析が必要になる「腎症」は3大合併症と言われる。
 講演では、北大大学院医学研究科の中村昭伸助教(免疫・代謝内科学分野)が「糖尿病は自覚症状がないことが多く、通院せずに放置してしまいがち。知らないうちに合併症を起こすことがある」と注意を促した上で、合併症予防には、食事療法で血糖値を調整することが重要と強調した。
 肥満は糖尿病のほか高血圧を引き起こしやすく、動脈硬化の原因ともなる。中村助教は「糖尿病と高血圧は併発することが多い。血糖値だけではなく、減塩も必要」と話した。
 中村助教によると、食事療法のポイントは「血糖値を下げる働きがある食物繊維を多くとる」「減塩」「低カロリーかつ満腹感があること」の3点。さらに食事の間隔、食べる順番、スピードも重要だという。
 同じく講演した北大病院の管理栄養士、吉田ゆかさんは「とりわけ、食事を抜いた後でのまとめ食いは、血糖値を急上昇させ、肥満になりかねないので禁物」と指摘。中村助教も「おかずを先に、ご飯を後に食べると急上昇を防げる。早食いにならぬよう、会話しながら誰かと楽しく食べることも大切」と述べた。
 高血圧の原因にもなる塩分摂取量について、厚生労働省は1日に男性は8グラム未満、女性は7グラム未満を推奨。高血圧の治療中は6グラム未満を目指すとしている。
(2016.11.02北海道新聞より一部抜粋)