有機農産物の壁

有機農産物は煩雑、割高
 消費者を北海道産の農作物につなぎ留めるには何が有効か。「地域が支える農業」(CSA)のように「安全・安心」をアピールできる有機農産物は、増える輸入農産物との違いを打ち出すうえで有効な切り札になりうる。ただ、北海道内では日本農林規格(JAS)の認証制度に基づく有機農産物(有機JAS)の生産農家は341戸(2009年3月)で、北海道農家の0・7%にとどまっている。
 有機JASは10年前に始まったが、技術習得や認証取得に時間と金がかかるうえ、「栽培記録の作成が必要なことも農家に敬遠されている。国内の有機農産物の生産量も約5万6千トン(2008年度、農林水産省調べ)と農産物全体の0・2%。農家からは「今はまだ普通の作り方でも売れており、無理に有機に切り替える必要もない」との声も漏れる。
 生産量の少なさは、有機を扱う売り場がまだ少なく、一般の農産物より価格が2〜3割り高いことも一因だ。札幌消費者協会が昨春行ったアンケートでも、有機農産物を買わない理由に「一般農産物より割高」と答えた人が59%を占めた。
 欧州などは有機栽培農家を手厚く支援することで価格帯を引き下げ、市場規模を数千億円から数兆円に広げている。それに比べ、日本は行政の支援体制も含めて大きく出遅れているのが現状だ。
(2011.1.6北海道新聞より抜粋)
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