β-カロテンだけではがん予防効果はない?

β-カロテンには強力な抗酸化作用がある
 活性酸素は、その酸化能力が強すぎて、正常な細胞の遺伝子を攻撃してがん細胞にしてしまったり、血液中のLDLコレステロールを攻撃して酸化LDLコレステロールという(動脈硬化を促進する)悪玉に変えてしまったりすることがわかっている。この活性酸素の作用をできるだけ抑えること(抗酸化作用)が、健康と長寿のために必要と考えれれるようになった。
 β-カロテンには、この抗酸化作用が大きいことがわかった。「β-カロテンを豊富に含んでいる緑黄色野菜をたくさん食べる人はがんになりにくい」という結果がたくさんある。緑黄色野菜を比較的多く食べている日本人でも、平均で一日90gに達していない。(厚生労働省が勧める緑黄色野菜の摂取量は120g以上)。
肺がんを予防するなら緑黄色野菜をたべること
 β-カロテンの薬効を証明するための大規模な実験が、1985年からフィンランドでスタートした。約3万人の喫煙者に対して、半分の人にはβ-カロテンを投与し、残り半分の人には偽薬(なんの作用も持たない成分)を投与した。
 当然「β-カロテン投与された人たちのほうががん発生率が抑えられること」が期待された。しかし、予想にに反して「β-カロテン投与郡のほうが肺がんの発生率18%も高く、しかも死亡率も高い」という結果が出てしまった。
 β-カロテンには強力な抗酸化作用があることはわかっていますし、また、β-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜をたくさん食べている人は、肺がんになりにくいこともわかっている。にもかかわらず「β-カテンを薬として投与すると喫煙者の肺がん発生率が上がってしまう」という結果は、関係者に多大な衝撃を与えた。
 栄養学はまだ発展途上の学問です。フィンランドの大規模実験は、私たちの健康には「サプリメントではなく食品を食べることこそが貢献する」ということを再認識させてくれたのです。
(栄養と健康のウソホントより一部抜粋)
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