子どもの野菜嫌いは当たり前

食の好き嫌いはなぜ起こるのか。
 子どもは野菜嫌いが多いと言われる。
 「子どもの味覚や嗅覚は大人より鋭く、ピーマンの苦味などは、『体に悪いもの』と本能的に体が受付けないことがあるため」と説明する。「大人でも繰り返し食べることでおいしく感じる。ピーマンは細かく切る、人参はすりおろすなどして慣らされて」と、野菜を活用した食生活を、親子で実践するよう呼びかけている。
 人間は生まれたときから好き嫌いがあります。甘い、しっぱい、うまい葉栄養分の味で、「おいしい=食べてもよい」という情報が遺伝子に組み込まれています。反対に酸っぱい、苦い、辛いは、有害なものから身を守るために作った味で「毒があるかもしれない」という警告の味といえます。人間は体の発達を支えるため、いろいろなものを食べる必要があり、長い経験から警告の味のものも、おいしいという情報を獲得しました。
 子どもの嫌いな味は、有害である可能性があるのですから、食の経験が少ない子どものうちは、好き嫌いがあって当たり前です。味の経験を重ねて成長すると、味覚が変化します。ですから、栄養バランスが極端に偏っていなければ、神経質になる必要はありません。食材から役立つ要素を獲得し、大人になったときに多くの味を楽しめるようになるため、味覚の発達が完成するといわれている12〜13歳までに、数多くの味を何度も根気よく経験させることが大切です。甘いだけ、しょっぱいだけ、味の濃いものなど極端な味やファーストフードのような単純な味は避けて、甘み、苦味など複雑に味の混ざったものを食べさせましょう。
 だからといって、無理に食べさせて食材へのトラウマを作っては意味がありません。「これなら食べられる」「実はおいしい」と感じる味に工夫してみましょう。