化学物質過敏症2/3

◎ごく微量の化学物質にも反応、体調不良に。多い女性患者。
北里研究所病院臨床環境医学センター(東京都港区)坂部貢センター長 ■相模原病院臨床センター 長谷川眞紀副センター長
★「引越しをしたあと、頭痛、めまい、鼻水などの体調不良が続いています。シックハウス症候群でしょうか」
A子さんは築3年の一戸建て住宅を購入。床や壁などを少しリフォームして入居した。引越し後から目の疲れや肩こり、頭痛、倦怠感に悩まされるようになった。やがて、たばこの煙や芳香剤、印刷物のインクなどのにおいをかいでも気分が悪くなった。
上記のセンター長に診てもらった。
●対策は、「家の治療」と「体の治療」の二本立てになる。中心は家のほうで、まずは発生源を特定することから始める。A子さんは自治体のシックハウス症候群相談窓口に連絡をして、室内の空気に含まれる化学物質を測定してもらった。
 その結果、接着剤に使われるオルムアルデヒドなどの濃度が高く、揮発性有機化合物の総量(TVOC)は、厚生労働省の指針値を大幅に上回っていた。
 特に寝室の数値が高かった。これは、タンスに入れていた防虫剤のパラジクロロベンゼンの影響だった。この物質は空気より重いので、部屋の低いところによどむ。A子さんはそこに布団を敷いて毎日寝ていたわけだ。日中はパートに出かけ、窓もあまり開けられず、換気も不十分だった。
 対策としては、防虫剤などの化学物質はできる限り除去し、家に帰るとすぐに窓を開けるなどして空気を入れ替えるようにした。
(次回は「体の治療」を書きます)