大豆の品種改良

◎つくりやすくおいしい豆腐を
 北海道は全国の大豆生産の2割前後を占める主産地です。道産大豆は、どれも高品質でおいしいことから高い評価を受けています。
 大豆は、タンパク質と脂肪が豊富なため、炭水化物が豊富な米と組み合わせて食べると三大栄養素がしっかり取れます。骨粗しょう症改善や更年期障害緩和の作用があるイソフラボンなど、機能性成分も含む優れた食材です。古来魔よけの力があると信じられ、節分の豆まきに使われたのもうなずけます。
 大豆には、さまざまな種類があります。流通量が多い黄白色の大豆についてみると、種子の大きさが中程度以上のものは、煮豆、豆腐、みそ、納豆と幅広く加工されます。種子が小さい納豆専用のものもあります。健康ブームで消費が伸びた黒豆や、未熟なさやをゆでて食べる枝豆も、大豆の仲間です。
 主力品種の一つ「トヨムスメ」は、低温の年に、収量が少なかったり、へそやへその周りが茶色くなる「着色粒」が多発しやすい欠点を持っています。この点を改善したのが2005年に育成した「トヨハルカ」です。翌年にはイソフラボン含有量が高い「ゆきぴりか」も生み出しました。
 道産大豆は本州産に比べタンパク質含量が少なく、豆腐が固まりづらい性質があります。タンパク質の量などを簡便に測定できる手法を導入しながら、道産大豆らしいおいしさと豆腐のつくりやすさを両立した新品種づくりに取り組んでいます。近い将来にも実現できる見込みです。
(道立十勝農試主任研究員兼大豆科長 白井滋久)(北海道新聞一部抜粋)