栄養摂って脳元気(2)

体内にない「アラキドン酸」が”ミソ”
ブドウ糖の必要量は脳だけで25%も消費
サントリー健康科学研究所長で薬学博士の木曽良信さんによると、「肉類などに含まれる必須脂肪酸の一つ『アラキドン酸』は、体内では生産できない、脳にとって重要な構成要素。老化した脳の学習・記憶能力を高めることが確認されております。40代以降、どんどん落ちる注意力、集中力の向上につながります」。
同じく肉類に多い必須アミノ酸トリプトファンは、脳内物質のセロトニンを産出。うつ病予防のもつながるという。
また、ブドウ糖は脳のエネルギー源で、脳はブドウ糖なしでは機能しない。体重70㌔の男性で、体全体でのブドウ糖の必要量は360㌘。脳だけで90㌘(25%)が必要になる。
うつ病予防
さらに、コレステロールはすべての細胞膜の構成要素。高田教授は「脳の乾燥重量の70%は脂肪で、その20%がコレステロール。これが十分にないと、神経の伝達がうまくいかなくなる。脳の機能向上にかかわる集中力が欠如、ボケやすくなるといわれます」。
若々しい「元気脳」作りには食生活改善から。
肉や砂糖、コレステロールを適度に含むバランスのよい食事を心がけよう。
運動や学習とともに「元気脳」を作ることに欠かせない食生活。ランチタイムも、栄養のバランスを考えて脳に活力を与えられるメニューを選ぶといいかも?
■言語能力は80代でも向上
【人間の能力と脳の訓練】
「人間の能力のピークは50代。ただし、能力の種類によって、年齢とともに異なる変化をみせます」と高田教授。
 例えば、情報をすばやく処理する能力(知覚の処理速度)は20代から低下。一方、言語能力は80代でも向上する。地図や場所を理解する空間処理能力は、60代でも20代とほぼ同レベルという。
 訓練している高齢者では、「記憶しようとするとき、左右の前頭前野の活動が高まり、その活動は、若者以上。脳の活動は訓練次第で、年齢にかかわらず高い能力を維持できる」(同教授)という。