栄養摂って脳元気(1)

■元気な脳は充実の食生活から始まる。
中高年の間で関心が高まっている脳のトレーニング。最近の研究では、中高年になっても訓練次第で脳細胞が分裂し、増え続けることが確認されている。また、加齢に伴う脳細胞の死滅は止められないものの、日常の行動や話し方、食生活の改善で、脳の老化を遅らせることは可能だという。さて、いつまでも若々しさを保つ「元気脳」の作り方とは?
■粗食はNG
脳細胞を増やすには、「運動」「刺激のある環境(遊び)」「頭を使う(学習)」の三つの柱があるが、浜松医科大学高田明和名誉教授は、「脳を鍛える基本として、毎日の食生活が重要になる」と話す。
「健康には『粗食がいい』といわれますが、脳の活性化にはつながらない。50年前の平均寿命は男性55歳、女性57歳ですが、今は男性78歳、女性85歳。この長い寿命を健康に過ごすには、しっかり栄養をとらなければいけません」(同教授)。
脳は体重の約2%、1・4Kg程度のおもさしかないが、食事でとったエネルギーの約4分の1を消費する。脳を十分機能させるためには、「悪者扱いされがちな肉類、糖分(佐藤)、脂肪(コレステロール)が必要不可欠」(同教授)なのだ。
◎運動=記憶の細胞である海馬の細胞を増やし、脳を刺激。血流がよくなり脳に酸素や栄誉が届き、神経細胞の突起が伸びて枝分かれを刺激。指を動かすと海馬の幹細胞が刺激され、記憶にかかわる神経細胞が増加。
◎刺激のある環境(遊び)=楽しいと感じる刺激は、前頭前野から、喜びの伝達物質だあるドーパミンの分泌作用を高め、海馬の細胞が増し、脳が活性化する。
◎頭を使う(学習)=「覚えよう」という意欲が脳細胞を増やす。「目的があって、頭を使うこと」。外国旅行をたのしむための外国語の勉強や、おいしい料理を作りたいからレシピを覚えるなど。「あくまでも楽しめることが鉄則」(同教授)。