がん幹細胞活性化、酵素の働きを発見

■がん幹細胞活性化、酵素の働きを発見 札医大グループ
 札幌医科大の鳥越(とりごえ)俊彦教授(病理学)らの研究グループが、大腸がんの「がん幹細胞(かんさいぼう)」内にある酵素「糖転移酵素(とうてんいこうそ)」に、幹細胞を活性化させる働きがあることを発見した。幹細胞はがん転移や再発の原因になる細胞で、この酵素の働きを抑えることによって新たながん治療法や予防法の開発につながると期待されている。
 がん幹細胞は、がんの組織内に少数存在。抗がん剤に対する耐性が高く、これまで細胞の仕組みや機能はよく分かっていなかった。
 研究グループは、幹細胞内にだけ多く出現する糖転移酵素に着目。この酵素が、幹細胞の表面にあるタンパク質を糖で覆い、別のタンパク質と結び付きやすくしていることを突き止めた。
 幹細胞は、別のタンパク質と結び付くと活性化し、がんの転移や再発が進むほか、抗がん剤に対する耐性も強くなることが分かった。さらに、この酵素を幹細胞から取り除くと、幹細胞としての機能を失うことも分かった。
(2017.12.08北海道新聞より抜粋)