室蘭市のピロリ菌検査

■がん検診受診率向上を目指す
 室蘭市は、市が行っている「胃がん検診」の受診率が道内の自治体の中で最も低い1.4%にとどまっています。
この状況を改善しようと、室蘭市胃がんの人の99%が感染しているとされる「ヘリコバクタ−・ピロリ」、いわゆるピロリ菌の有無を調べる検査への助成を始めました。
2400円の費用のうち個人負担は700円です。
昨年度は対象の50歳から65歳までのおよそ5000人のうち、15%の人が検査を受けました。
室蘭市は、隣の登別市とともに、今年度から中学生を対象にピロリ菌検査の費用の全額を助成することにしました。
医師は「どんなタイプの胃がんでもピロリ菌という菌がいる。いない人はほとんど胃がんにならないので、持っている人は140倍くらい胃がんになりやすい。除菌治療では薬を1週間飲むだけで菌が消える。胃がんは予防できるがん。
胃がんで亡くなるのはもったいない。こんな強力な予防法はない」などと中学生に説明しました。
 製鉄記念室蘭病院の前田征洋病院長は「除菌成功率もいまのところ100%で非常にいい成績が出ている。地域全体でピロリ菌と胃がんということをさらに意識を高めるいいきっかけになっていると思う」と話していました。
ピロリ菌検査を後押しようと、ことし2月現在、道内では室蘭市をはじめ35の市町村で自治体などが検査の費用を助成していて、このうち、16の市と町では中学生を対象に助成しています。
中学生を対象にしていることについて、室蘭市などはピロリ菌に感染する期間が長いほどリスクも高まるため、若いうちから除菌を進めて、がん予防につなげたいとしています。
室蘭市登別市では、今年度、ピロリ菌検査を受けた生徒1860人のうち31人が、ピロリ菌を除菌する治療を受け、治療を受けた全員が抗生物質の処方で、除菌をおえたということです。
室蘭市のピロリ菌検査】
室蘭市によりますと、昨年度から始めたピロリ菌検査への助成は、尿を採取して行う検査にかかる費用2400円あまりのうち、1700円あまりを市が助成し、個人の負担は700円です。
対象は、それぞれの年度ごとに、年度内に50歳、55歳、60歳、65歳となる市民です。
昨年度は、対象となった5072人のうち、15%近い755人が助成を利用して検査を受け、このうち、313人がピロリ菌に感染している可能性が高いことがわかったということです。
室蘭市では、胃がん検診を受診する人が少ないことから、比較的手軽に出来るピロリ菌検査で胃がんのリスクをまずは自覚してもらい、がん予防への意識を高めたい考えです。
また、今年度から室蘭市登別市の中学校2年生と3年生の希望者を対象にピロリ菌検査にかかる費用を全額、助成しています。
検査の結果、ピロリ菌に感染していることがわかった生徒が菌を取り除く治療費も全額、市が助成しています。
治療にあたっている医師によりますと、比較的若い時期に除菌をすることで、胃がんのリスクをほぼ抑えられるとする複数の研究結果や報告に基づいて取り組みを進めており、生徒の家族などが胃がん検診への意識を高めることも期待されるとしています。
ただ、中学生に対するピロリ菌検査や除菌治療は健康保険の適用外であることや、抗生物質の服用によって一部の人には下痢などの副作用も出る場合があるため、こうした点を保護者に説明し、同意を得たうえで、希望者にのみ、除菌の治療を行っているということです。
取り組みについての問い合わせ先は室蘭市健康推進課、電話番号0143−45−6610です。