少子化対策

■お粗末な子育て環境
 1人の女性が一生に産む子供の数を示す15年の合計特殊出産率は1・46で、前年を0・04ポイント上回った。
 しかし内情は「団塊ジュニア世代」の駆け込み的出産が目立つ。一時的と見る向きが専らだ。
 人口を維持するために必要な「2・07」はもちろん、政府が当面の目標として掲げる「1・8」にも遠く及ばない。
 少子化の背景にあるのは現在の社会構造だ。雇用不安が付きまとい、待遇もよくない非正規で働く人が全体の4割に達している。その低い所得から、子供を産みたくても産めないのが実情だ。
 しかも、生活のために共働きする世帯にとって必要な保育所が、絶対的に足りない。
 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題して、子育て中の女性が働きたくても働けない苦境を吐露したブログが大きな反響を呼んだのは、切実さが伝わったからにほかならない。
 国と自治体も慌てて待機児童対策に取り組み始めたが、付け焼き刃的な対応に映る。
 少子化対策は息の長い取り組みが必要だ。こうした一つ一つ問題点を洗い出し、丹念に解決していくことが欠かせない。
(2016.06.26北海道新聞の社説より一部抜粋)