ミネラル

■ミネラルは無機物質の栄養の総評
 ミネラルと呼ばれる栄養素があります。ミネラルという英語の意味は「鉱物」です。もちろん、食べ物に石ころが入っているわけではありません。糖質、脂質、たんぱく質、ビタミンが有機物質であることから、そうでないもの、すなわち無機物質である栄養素がミネラルと呼ばれることになります。
 具体的には、ナトリウム、カリウムなど、つまり塩のことです。ミネラルは大事だとお分かりになると思います。さらに、微量でも必要な金属類、つまり鉄、亜鉛、銅などもミネラルに入ります。ミネラルは、たくさんの種類の物質の総称なのです。
 ミネラルは汗、便、あかなどから、常に失われます。体内で作れませんので、必ず飲食物から摂取しなければなりません。通常の食事をきちんとしていれば、不足する恐れはほとんどありません。ただ、たくさんの汗をかいた状態になると、塩分が不足することになるのは、ご存じのとおりです。
 最近「ミネラル入り」を売りにした飲料や健康食品が多くなっていますが、こうしてみると、いったい何のことを言っているのか、実に曖昧であることが分かります。入っているのが塩なのか、鉄なのか判然としません。ましてや塩を加えただけで宣伝するのは、誇大広告のきらいもあります。わたくしたち消費者は、もっと知識を得て、宣伝に踊ろされないようにしなければなりませんね。
(とうせ・のりつぐ=札医大医学部教授)
(2015.08.26北海道新聞より抜粋)