反原発 小出助教の定年退職(2/2)

原発の小出助教が定年退職
 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教(65)といえば、反原発の旗手としてつとに知られた人物である。
■「原子力」は、もともと「核」と同じものだ。日本は「原子力の平和利用」を標榜しながら、「核兵器」を持ちたいと思っていた。原子力が抱える真の問題は、それが差別や平和とかかわっていることだ。
 「福島の事故は今も進行している。4年たっても全く収束していない。(国や電力会社は)その実態を忘れさせようとしている」
■小出さんは東京出身。原子力に夢を抱いて東北大学工学部の原子核工学科に入学。しかし女川原発宮城県)の反対集会に参加したのを機に、反原発に転じた。
 以後「原子力をやめるための研究」にまい進した。原子炉実験所に助手で入り、出るときも肩書が変わっただけの助教。90分の退職講演をこう締めくくった。
 「私は本当に愚かだった。若いときに、原子力に夢を抱いてしまった・・・・・原発を止められず、福島の事故も起きてしまった。私の人生は敗北の連続です」
 「でも、私はずっと自分のやりたいことを続けることができた。私は誰からも命令を受けませんでしたし、最下層の教員でしたので、誰にも命令しませんでした。全国で反原発を闘う人たち、実験所の仲間にも巡り合うことができた。感謝します。本当にありがとうございました」(拍手)
 退職後も夏まで講演予定が埋まっている。その先は思案中というが、「仙人になる」のはまだ早い。
(2015.03.08北海道新聞の異聞風聞より一部抜粋)