大間 新たな危険を生む

小出裕章京都大学原子炉実験所助教
 政府が推進する核燃料サイクルはうまくいっていない。日本が英仏の再処理を委託して使用済み核燃料から取り出したプロトニウムは既に47トンある。これは長崎型原爆4千発分に相当する。だが、プロトニウムを燃やす高速増殖炉もんじゅ」は事故続きで停止中だ。
 増え続けるプロトニウムへの対応を迫られた日本は原発でプロトニウムを燃やそうと考えた。ただ、現在はウランを燃やすために設計された原子炉でプロトニウムを処理している。これは石油ストーブでガソリンを燃やすような危険を伴う。プロトニウムを大量に消費するため建設されている施設が電源開発大間原発青森県大間町)だ。プロトニウムを燃やすことを想定した原子炉だが、プロトニウムはウランに比べて何十万倍も毒性が強い。専用炉とはいえ、新たな危険を生むことになる。
 福島原発事故では福島の人たちをあれだけの苦難に突き落としながら、原発に関わった研究者や政治家はだれ一人責任を問われていない。そういう人たちを裁けない法律そのものが間違っていると思う。仮に小さな町工場が毒物を垂れ流せば警察が踏み込み、裁判所が責任者を裁くはずだ。
(2014.10.05北海道新聞より抜粋)