薬草カンゾウ育苗に成功

北海道名寄の薬用植物研究センターで薬草カンゾウ(甘草)育苗に成功
【名寄】独立行政法人医薬基盤研究所の薬用植物資源研究センター北海道研究部(名寄市)は7月11日、2012年に独自開発したカンゾウ(甘草)の国内栽培用品種の育苗に成功し、国に種苗登録申請を行ったことを明らかにした。薬効成分を含む根を効率的に収穫する機械も開発し、特許を取得した。漢方薬の主原料でありながら、全量を輸入に頼るカンゾウ(甘草)の国内生産へ弾みがつきそうだ。
 北海道研究部では国内栽培に適し、医薬品規格に合う薬効成分を持つ品種を開発。育苗が課題だったが、林茂樹研究員、北海道医療大の高上馬希重准教授ら4人の研究チームが挿し芽や温度管理、照明の工夫による増殖方法を確立した。6月26日に種苗登録申請を行った。同部の菱田敦之研究サブリーダーは挿し芽を行ってから1ヶ月で畑に定植できる。冬季に温室でたくさん苗を育てることもできるようになる」とする。
 今後は試験栽培を複数の場所で進めつつ登録許可を待つ。一般農業者への普及は17年度を目標にしている。
 また、カンゾウ(甘草)は薬効成分を持つ根を四方八方に張るため、収穫作業の効率化が課題となっている。同部はケーキをカットするように土に切れ目を入れ、根を切り取る技術を考案し、昨年12月に特許を取った。
 カンゾウは国内で消費される漢方薬の約7割りに配合されている。主要生産国の中国は輸出規制を強め、生産環境の悪化で品質低下も目立っているという。
(20114.07.12北海道新聞より抜粋)