”用なし”虫垂・・・実は腸内細菌調整役

■阪大など「むやみな切除さけて」
 体に必要ない組織と考えられていた虫垂が腸に免疫細胞を供給し、腸内細菌のバランスを保っていることを大阪大学などのチームがマウスで明らかにし、4月10日付けお英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
 チームの竹田潔大阪大学教授(免疫学)は「バランスが悪くなると食中毒も起こしやすい虫垂をむやみに取らない方が良い」と話す。腸内細菌のバランスが崩れて発祥する潰瘍性大腸炎クローン病の新しい治療法開発も期待される。
 虫垂は盲腸の端から伸びる細長い組織。体内に侵入した病原体などを攻撃する免疫細胞を作る働きを持つ。
 だが虫垂炎を起こすことがあり、他の病気の開腹手術の際、大きな影響が出ないとして切除されることがある。
 チームは虫垂の働きを調べるため、虫垂を切除したマウスと、していないマウスを比較。
 すると、切除したマウスの大腸内では、腸内細菌のバランス維持を担う抗体を作る免疫細胞が半分になっており、バランスも崩れていた。また、虫垂でできた免疫細胞が、大腸と小腸に移動していることも確かめており、虫垂が腸内細菌のバランスを保つのに役立っていることが分かった。
(2014.4.11北海道新聞より引用)