北海道の知事は、いったいどっちを向いているの?

【卓上四季】
 ちょっと主義時計の針をちょっと巻き戻してみよう。去年の6月19日。高橋はるみ知事は小野寺五典防衛相と会った。目的は、道東の矢臼別演習場で砲弾の場外着弾事故を起こした米海兵隊が、地元合意がないまま一方的に訓練を再開させたことへの抗議。
●当時録画しておいたNHK道内ニュースを見直してみる。高橋知事の言葉の字幕は<地元としては受け入れがたく>となっている。が、マイクは「地元としては、えー、やはりちょっと受け入れがたいということで…」という声を拾っていた。
●「ちょっと」は「少し」「少々」。なぜ、遠慮がちに「ちょっと」を付け加えるのか。「ちょっと」ではなく「断じて」のはず。放送時に抱いた強い違和感を思い出す。
●少々古い発言を再生したのは、函館市による大間原発の建設差し止め訴訟に関する知事コメントを新聞で知ったから。<国や事業者に対し、函館市をはじめ地域住民の方々の不安に真摯(しんし)に向き合い、誠意をもって説明責任を果たすよう求めてまいりたい>とあった。
●まったくずれている。函館の要求は「説明」ではなく、こうしている間も目の前で勝手に進められている工事の停止だ。<事業者が丁寧な説明を行うことはもちろん、国としてもしっかり安全性を説明したい>。これは菅義偉(すがよしひで)官房長官の発言。“口調と歩調”が妙に合っている。
●北海道の知事は、いったいどこを向いているのだろう。
(2014.04.05北海道新聞より引用)