「東京原発」という問い
「脱原発」候補が分裂・敗北した東京都知事選(2月9日)は旧聞に属する。そう思ってコラムに食脂が動かなかったが、道南のマチの読者から頂いたお便りで考えが変わった。
「知知事選の結果にがっかりしました。東京に原発があったら、こんな結果にはならないと思いました。安部首相は再稼動へ強気の発言をしていますが、私たちは学んでいます。原発に何が起きても、国はなんの責任も取らないと言う事を」
この文章は深いところを突いていると思う。都民の目の前に原発はない。首都圏から遠く離れた福島や新潟にある。東京電力の原発がエネルギーの大消費地に電気を送っていた。
人は見たくないものを見ない、終わったことは忘れる。
原発から出る核のごみをどこで始末するのか、原発を続けるなら、最大の受益者である東京をはじめ大都市で原発も核のごみも引き受けるべきではないか。福島で危険性がはっきりした使用済み核燃料をどうするのか。各原発サイトの貯蔵プールが満杯になったら、行き先は?
過酷事故が起きたら、原発の電気を送る立地地元に一切のリスクを背負わせて平気なのか。事故から3年近くたった今も、故郷を追われた福島の避難民は約14万人にのぼっている。
(2014.3.2北海道新聞より一部引用)