ロシアの電気を日本へ売り込め

 ロシア最大の水力発電会社ルスギドロによる火力発電所建設に向けた現地測量が始まった。
 完成予定は2016年。地元向けの電力供給が目的だが、必要に応じ施設を増強し、電力を海底ケーブルで北海道へ送る構えだ。
 ロシア側の構想は極東やシベリアの各地にある水力発電所の電力を統合し、大陸からサハリンに送る。それにイリインスキーを含む複数の発電所の電力を合流させ北海道へ届ける。
 送電規模は400万キロワットで北電泊原発(後志管内泊村)の3基の合計の2倍近い。
 広大な土地と大河に恵まれたロシア極東とシベリアは、水力発電の可能性に富む。しかし、極東とシベリアに11ケ所の水力発電所を持つルスギドロでも、極東で実際に活用できているには5%だ。
 同社はさらに3ケ所で新水力発電所の建設計画を進め、豊富な電力を輸出に回し収増益を狙う。
 「電力はロシアにとって石油、天然ガスに次ぐ第3の戦略的輸出エネルギーに成長しうる」と言う。
○日本政府は冷淡
 しかし、日本政府の対応は冷ややかだ。数千億円を越える事業費に加え、法整備も必要との見方がある。
 昨年5月の参院沖縄北方委。ロシアからの電力輸入について問われた経済産業政務官佐藤ゆかり(52)は「相手国の政策変更により電力供給が途絶えるリスクや費用対効果の問題、現行の電気事業法が海外からの電力輸入を想定していない課題もある」と述べた。電力というライフラインを平和条約を結んでいない国に依存することへの官僚の警戒感を代弁していた。
(2014.01.04北海道新聞より一部抜粋)