全国原発から風船 福島事故3年

■市民団体、北海道・泊など全国原発から風船 福島事故3年 放射性物質の拡散探る
 原発の再稼働に反対する全国の市民団体が2014年3月、東京電力福島第1原発事故から3年に合わせ、全国の原発周辺から風船を飛ばす計画を進めている。事故が起きた場合の放射性物質の拡散範囲を目に見える形で示すのが狙い。北海道電力泊原発(後志管内泊村)周辺からも3月11日に飛ばす予定だ。
 脱原発の市民団体でつくる「再稼働阻止全国ネットワーク」(東京)が呼び掛けた。泊を含む各地の原発で過去に同様の調査が行われているが、全国一斉調査は初めて。
 原発ではないが、米海軍の原子力空母が停泊する神奈川県横須賀市からも風船を飛ばすことにしている。
 風船にはがきを付け、見つけた人にその場所などを連絡してもらう。集まったデータは後日公開する。
 泊では昨年10月、対岸5キロの岩内港から風船約800個を飛ばし、北東に約180キロ離れた上川管内東川町や旭川市でも到達が確認された。
 原発事故時の放射性物質の拡散予想システムを開発した環境総合研究所(東京)の青山貞一顧問(東京都市大名誉教授)は、「3月の日本上空は北西からの風が多いが、福島事故では福島県飯舘村など逆に北西の方向に高濃度の汚染地域ができた。全国一斉に風船を飛ばして実際の拡散方向を可視化する意義は大きい」と指摘する。
(2014.1.4北海道新聞夕刊掲載)