自然栽培米を生産

■無肥料、無農薬の自然栽培米を生産
 農薬はもちろん肥料も与えない。田んぼに流れる湧き水と、土にすき込んだ稲わらや籾殻の栄養分だけで育てる自然栽培の米作りに挑戦して7年目になる。今年は1・9ヘクタールで約6トンを収穫。「まずまずの出来」と笑顔を見せる。
 芦別市の稲作農家の4代目。札幌での大学生時代、「実家は農家」と周囲に話すと、うらやましがられたという。「農家は命を支える食に関わる仕事と再認識しました」
 8年前、青森県弘前市で無農薬無肥料の「奇跡のリンゴ」を生産する農家の木村秋則さんの講演を聞いた。「米でもできるだろうか」。翌年、10アールから始め、徐々に栽培面積を広げてきた。
 有機質の肥料を使わない稲は葉の色が薄く、見た目には弱々しい。田んぼはすぐに雑草だらけになる。「通常の減農薬の米と比べて労力は3倍で収量は3分の1.でも採れた米はとてもみずみずしい」。昨年収穫した米は和歌山県の老舗メーカーが造る高級しょうゆの副原料に採用された。
 道内の農家有志でつくる自然栽培研究会北海道(十勝管内幕別町)によると、無肥料無農薬栽培に取り組む会員は畑作が中心で、米作りに挑むのは太田さんだけ。「手間がかかり、栽培面積を増やせないのが悩み」だが、道内外の常連客らから年々注文は増えている。
(2013.11.23北海道新聞より一部抜粋)