ダウン症薬 初の治験

 青年期以降のダウン症の人の一部に見られる、日常生活を営む能力の低下を抑えることを目指した初めての臨床試験(治験)を、製薬会社エーザイが8月にも始めることが6月29日、分かった。ダウン症の人の生活の質を改善することができるか検証する。
 エーザイによると、試験に使うのは、アルツハイマー病の治療薬として同社が1999年から販売している「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩)。神経の間の情報伝達を改善する。
 試験では、動作が緩慢になったり、会話が少なく閉じこもりになったり、睡眠障害が出るなどした15〜39歳のダウン症の人に1日1回飲んでもらう。数十人を対象に安全性と有効性を確かめるのが主な目的で、3〜4年かかる見通し。
ダウン症
 遺伝情報を伝える22対の常染色体のうち、21番目の染色体が本来の2本よりも1本多いために発症する先天異常。母親の出産年齢とともに発症率が高まり、全体としては約800〜1000人に1人の割合で生まれる。筋力が弱く、心臓疾患や知的な発達に遅れを伴うことが多い。知的障害の程度は幅広く、性格は陽気で、コミュニケーション能力にたけている人もいる。
(2013.06.29北海道新聞より抜粋)