遺伝子組み換え作物

 米国オレゴン州の農場で遺伝子組み換え(GM)の小麦が見つかった。こんな報道に目を疑った。
 大豆やトウモロコシは遺伝子組み換えが大半を占める米国でも、小麦は政府が認可していない。農薬種苗会社が試験栽培の段階で開発を無期限延期して8年がたつ。
 それが、なぜ?
 発見後、原因が解明されたとの続報には触れていない。後味の悪さが残ったままだ。
 遺伝子組み換え作物は、除草剤が効かないように遺伝子が組みかえられている。除草剤で雑草を死滅させ、組み換え作物だけを残す仕組みである。
 小麦の開発にストップがかかり、不認可となった背景には、先行した大豆などの安全性に対する抵抗感が欧州や日本で強かったことがあるとされる。
 組み換え小麦が栽培されていないのは、輸出という経済の論理が働いたからだろう。
 折しも日本は、経済ルールの変更を織り込んだ環太平洋連携協定(TPP)交渉に参入する。組み換えの表示や規制を緩和する方向に進むかもしれない。交渉の行方に目が離せない。
(2013.06.24北海道新聞の今日の話題より一部抜粋)