ミドリムシの力

 多くの国で深刻な栄養失調、エネルギーの問題を解決する救世主になるかもしれない。
 その有力候補として注目されているのが、藻の一種であるミドリムシだ。
 新年早々の夢の話ではない。なにしろ59種類もの豊富な栄養素を持ち、大量の二酸化炭素(CO2)を食べてくれるありがたい存在なのだ。
 世界で初めてミドリムシを屋外で大量培養することに成功したユーグレナ(東京)が昨年末、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。
 東京発のベンチャー企業で、上場初日は注文が殺到し、初値が付かない人気となった。ちなみにユーグレナミドリムシの英和名である。
出雲充社長(32)が大学生だった1998年、バングラデッシュで栄養失調の現状を目の当たりにしたのが起業のきっかけだ。独自のバイオ技術でミドリムシを粉末にした機能性食品の製造・販売を手がける。
 ミドリムシ関連食品の市場規模は現在80億〜90億円だが、将来は500億円を越えるとみられるほど期待は大きい。
 航空用のバイオ燃料としての研究も進む。ジェット燃料に近い成分を生成する特質からだ。ユーグレナ全日空などと連携して5年後の実用化を目指す。
 頼もしいのはCO2を吸収するほどミドリムシ光合成が活発になる点だ。原発稼動停止で火力発電の比重が高まり、温暖化への影響が避けられない中、ミドリムシパワーを活用しない手はない。
(2013.01.05北海道新聞夕刊の今日の話題より抜粋)