スパコン「京」本格運転

■研究や産業 活用に期待 理化学研究所
 日本が誇るスーパーコンピューター「京」が9月28日午後、神戸市の理化学研究所で本格運転を始めた。毎秒1京回(京は兆の1万倍)を超える計算速度を生かし、地震津波の被害予測、新薬開発や天気予報の精度向上など幅広い分野で成果が期待され、研究機関だけではなく自動車メーカーなど産業界も利用する。
 心臓病の治療法や、ポリオ(小児まひ)を起こすウイルス感染の分子レベルでの解明、ニュートリノの研究につながる星の爆発メカニズムなど、国が画期的な成果を見込んでいる七つの課題に優先的に京の計算能力を割り振る。自動車メーカー各社共同で実施する車の衝突実験など公募で選ばれた研究を含め、活用されるのは計93件の課題。
 理研の基礎研究の杉田有治主任研究員のグループは、細胞をつくるタンパク質のどの部分が薬に反応しやすいかを調べるため、細胞内のタンパク質の動きをシミュレーションする。将来的に効果的な薬の開発につなげることが目標。
(2012.09.29北海道新聞