テレビの「笑い」いじめを遊びに

養護教諭 国保いずみ(53)日高管内新冠
 お笑いタレントのスギちゃんが、バラエティー番組の収録中に胸椎骨折の大怪我をしたという記事を見た。ここ数年、お笑いタレントの怪我が後を絶たない。
 私は最近のバラエティー番組の笑いの質に、今問題になっている子どもたちのいじめを遊び化される原因の一端があるように思っている。
 危険なことを仕事という縛りの中であえてやらせ、タレントがおびえ苦しんでいる姿をおもしろさとして作る番組企画は、まさにいじめそのものであるとともに、いじめをふざけ合いに見せかけて、その本質を見えにくくさせている。
 しかもその結果、怪我をさせるという事故を起こしていることは、許されない大きな問題だと思う。
 「何を笑うかでその人間がわかる」という言葉がある。子どもたちは、大人の作った社会で生きている。
 テレビによって子どもたちの心にすり込まれる大きな影響を考えると、人をもてあそんで笑いにするような番組作りはやめてほしい。
(2012.09.09北海道新聞「読者の声」より)