使用済み核燃料はどこが引き受け

■主婦 田中サヨ子(68)(札幌市厚別区
 チュルノブイリ原発事故で被害を受け、自ら脱原発に立ち上がったドイツの主婦の取り組みがNHKのテレビ番組で紹介されていた。
 周囲と知恵を出し合って太陽光や小規模水力など自然エネルギー専門の電力会社を設立し、脱原発に成功したという。日本だってたくさん知恵がある。努力すれば十分可能だと感じた。日本の現状と重なるドイツから学べることは多い。
 原発に無関心でいられないのは、使用積み核燃料の問題がある。日本では全国の原発で多量に貯蔵されている使用積み核燃料の行き場が無く、万一問題が生じれば全世界に影響するという。それでもまだ原発を望む人はこの現実をどう考えているのか、とても不可解だ。
 使用積み核燃料を再処理して利用する高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は膨大な費用をかけて建設されたが、現在、廃炉も検討されている。たとえ地中深く埋めるとしても、放射能が安全なレベルまで下がるのに10万年以上かかる使用積み核燃料のような危険物を、この狭い日本のどこが引き受けるというのか。原発を推進する人は責任を負えるのか伺いたい。
(2012.06.01北海道新聞「読者の声」より)