核のごみ10万年の保証は不可能

■核のごみ管理
 日本の研究機関で高レベル放射能廃棄物の地層処分(※1)計画にかかわり、福島原発事故対策で内閣官房参与を務めた多摩大大学院の田坂広志教授に聞いた。
 もしも明日、100%絶対に事故を起こさない原発が開発されたとしても、高レベル放射性廃棄物の問題は解決されません。もし、この国に脱原発の政権が生まれ、原発54基すべてを止めたとしても、既に使用済み核燃料はガラス固化体に換算して2万本分以上発生しています。
 原発推進か、反対かを問わず、私たちは、この高レベル放射性廃棄物の問題を必ず解決しなければならない。
 青森県六ヶ所村の再処理工場ははトラブル続きで動かない。この状況が続けば使用済み燃料が原発から搬出できず、近い将来、事故がなくても原発が稼動できなくなるからです。
 私はかつて、米国の国立研究所で高レベル放射性廃棄物地層処分の安全性について研究しましたが、その本質は「10万年の安全を保証できるか」という問題です。千年程度なら、歴史を振り返ることで、ある程度の実証的な議論はできますが、10万年は、科学的に安全を保証することは不可能です。
※1:放射性廃棄物を地中深く埋める処分法。日本では2000年の法律で地下300メートル似深に埋めると決まった。処分技術の研究は、宗谷管内幌延町にある地下研究施設「深地層研究センター」などで行われている。
(2012.04.12北海道新聞より一部抜粋)