原発のごみ

こんなクイズをご存知だろうか。原発から出た放射性廃棄物は数万年にわたって危険なままである。それをどうするかというのが設問だ。
1:ロケットで宇宙に飛ばす
2:南極の氷の下に埋める
3:数万年間、人間が地上で管理する
答えは3の地層処分。出題者は、放射性廃棄物の処分を担当する原子力発電環境整備機構で、処分場の必要性を訴えるキャンペーンの一環だ。
 地下300メートルより深い場所に、鉄製の容器に入れた高レベル放射性廃棄物を保管する処分場を建設し、最終的には埋め戻してしまう。
 世界各国で場所の選定は難航し、日本では候補地すらない。
 日本のような地震多発国での地層処分については、その安全性を疑問視する専門家もいる。もっともな指摘だと思う。
 1から3に共通するのは人間による管理を想定していない点だ。唯一の例外である4は、将来世代にも管理負担を負わせるからいけないのだそうだ。
 普通に考えれば、管理の放棄は未来への責任の放棄だが、そんな常識は通じない。途方もないごみである。
 地球にとって数万年は長い時間ではなく、地球の力と人間の英知を信じてよいのではー。整備機構のパンフレットには、こんな識者の声も載っている。
 せいぜい10年程度の想像力しか働かない小人物の自分には、「地球にまかせて、後は野となれ山となれ」というふうにも聞こえる。
(2012.03.09北海道新聞「今日の話題」より)