原発の危険性に青森は無関心か

 青森県下北半島は、原子力発電所核燃料サイクル施設など原子力関連施設が集中する国内有数の地域だ。そのうちの一つが東日本大震災で建設が中断されている電源開発(東京)の大間原発である。
 大間原発津軽海峡を挟んで函館から最短距離で23キロしかなく、函館市民の不安は大きい。工藤函館市長が高谷北斗市長や中宮七飯町長と経済産業省電源開発本社を訪れ、大間原発建設の無期限凍結を要請し、少なくとも半径30キロ以内の自治体の同意なしに建設を再開しないよう国の働きかけを求めたのも当然だ。
 だが、函館市民の懸念とは裏腹に、大間原発の地元からは、福島第一原発事故後も「反原発」「脱原発」の強い声は上がらないようだ。「原発マネー」で立派な学校や福祉施設が建てられ、住民が原子力関連施設の建設作業に従事するなど雇用効果も大きいからなのだろう。
 青森県内からも原発の危険に対する声はあまり聞かれない。これらの施設が県内の主要都市の青森市八戸市から離れているからなのだろうか。青森県の方々が原発の危険性に無関心だと感じるのは、函館市民としてとても残念だ。
(2012.03.09北海道新聞読者の声より)(函館市塾講師 片山卓朗 53)