明るさLED素材の100倍

 発光ダイオード(LED)に使われる無機蛍光体より100倍以上明るく、300度以上の熱にも耐えられる新たな有機蛍光体の開発に、北大大学院工学研究院の長谷川靖哉教授(物質科学)の研究グループが初めて成功した。2月28日、東京都内で開かれた新技術説明会で発表した。
 新たな発光体は、蛍光灯などに使われている「ユーロビウム」というレアアース(稀土類)に、光を吸収して集める有機分子を付け加えた。
 有機分子は高温に弱く、加工しにくいという問題点はあるが、特殊な化学作用で、高温に耐えられる構造を実現させた。300度の熱でも燃えないという。
 構造の工夫に伴い、光の粒子をとらえて発光する効率も、従来の60%程度から80%以上と高くなった。
 研究グループは、今回の発光体の開発で、より消費電力の少ない照明の実用化に期待する。長谷川教授は「技術革新を起こすと確信している」と述べた。
 また発光のいろが鮮明なためイルミネーションに応用したり、水に溶けない性質を生かし、発光する顔料インクに応用するなどアイデアを披露した。
 このほか説明会では、北大と北見工業大学、公立函館未来大学の道内3大学の研究者たちが、8テーマの研究成果を発表した。
(2012.02.29北海道新聞