震災がれき、函館の隣町のセメント工場で処理

 東日本大震災の被災地復興の障害になっている震災がれきについて、国内セメント最大手の「太平洋セメント」が、北海道函館市の隣町の北斗市の上磯工場で受け入れる意向を示していることが、3月12日分かった。国は、民間企業にも受け入れ協力を求める方針で、北海道は受け入れ量などの調整に入る。民間企業の道内工場で、がれき処理の意向が明らかになるのは初めて。
 同社では、がれきの焼却灰を混ぜてセメントを生産する計画で、同社は「震災の復興に最大限協力する」としている。環境省は、「がれきを有効活用する一石二鳥の取り組み」としている。
 同社は、埼玉県内にある2工場でも、木くず年間最大1万1000トンの受け入れが可能で、同県は今月25日に、焼却して放射性物質濃度を測定する実証実験を行う予定。埼玉の2工場のセメント生産能力は合わせて280万トンで、上磯工場は360万トンもある。除塩設備を新設して岩手県内のがれき処理をしている大船渡市の工場は180万トンで、上磯工場の貢献度は大きいとみられる。
 道はこれまで同社と複数回にわたって意見交換を進めてきた。今後は同社と受け入れる種類や量などの調整を進め、北斗市などと協力して地元住民への説明会を開催する。野田首相は11日、都道府県に加え、がれきを原材料にできるセメント、製紙会社にも、がれき処理の協力を要請することを表明した。
(2012年3月12日読売新聞一部抜粋)
東北3県のがれき推計量は、約2,247万トン(岩手県約449万トン、宮城県約1,570万トン、福島県約225万トン)であり、これは阪神・淡路大震災の1.6倍、全国の年間一般廃棄物総量の2分の1に相当する。
(2011.6.25東京新聞
 各県の沿岸市町村の仮置き場への搬入済み量は、岩手県では合計で約252万トン(がれき推計量の約56%)、宮城県では合計で約565万ト ン(がれき推計量の約36%)、福島県では合計で約61万トン(がれき推計量の約27%)である。一般廃棄物の処理は、本来、最終処分まで市町村の仕事だが、震災に伴う市町村行政機能の低下も考慮し、一部県が代行している。また処理費の総てを国が補助する。今後の処理については、放射能汚染の影響がある福島県の一部を除き、2012年の3月末までに総てのがれきを仮置き場に移す計画である。
(2011.6.25東京新聞