トマトは脂肪肝に有効?

■メタボ退治?トマトに殺到
 京都大学大学院の研究グループが「トマトはメタボリック症候群の予防に効果がある」との研究結果を発表した2月10日以降、トマトやトマトジュースの売れ行きが全国的に急速に伸び、道内でも品薄状態になっている。トマトの卸売価格は倍近くに上昇し、小売店が値上げを検討しているほか、一部のトマトジュースが販売中止になるほど。こうした現象に専門家は「トマトの効果が過大に評価されている」と指摘している。
 京都大学大学院の河田照雄教授らの研究グループは、マウスを使った実験で、脂肪肝などの改善に有効な新成分がトマトに含まれていることを確認したと発表。新成分を入れたエサを肥満マウスに与えたところ、4週間で血液と肝臓の中性脂肪が約3割減少したとして、新聞やテレビで報じられた。
 この状況について、群馬大学教育学部の高橋久仁子教授(食生活教育学)は、今回は信頼できる研究機関の実験結果としながらも、「あくまで研究用の肥満マウスを用いた実験だということが消費者伝わっていない」と説明し、メタボリック症候群に同様の効果が期待できるかは疑問としている。「消費者の目がトマトばかりに向き、バランスの良い食事を摂る基本がおろそかになりかねない。特定の食品の影響を過大評価せず、冷静に行動すべきだ」と話している。
(2012.02.22北海道新聞より一部抜粋)