パーキンソン病 ヒトES細胞で症状改善

■京大、ヒトES細胞で症状改善 パーキンソン病のサル
 さまざまな組織などになるヒトの胚性幹細胞(ES細胞)から、神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞を作り、パーキンソン病のサルの脳に移植して手足の震えや動きを改善させることに京都大の高橋淳准教授らのチームが世界で初めて成功し、2月21日発表した。ヒトのES細胞でパーキンソン病のサルの症状を改善させたのは世界で初めて。
 パーキンソン病は、脳のドーパミン神経細胞が減ることで、震えや体のこわばりなどが起こる難病。薬物治療などがあるが、神経細胞の減少を根本的に食い止める方法はなく、再生医療での治療が期待されている。
 だが移植後に腫瘍ができる可能性もあるため、患者の治療に向け、純化したドーパミン神経細胞を作ることが課題だ。
チームは、ヒトの受精卵の一部を取り出し、培養してES細胞を作製し、6週間かけて分化、誘導してドーパミン神経細胞を作った。これを4匹のカニクイザルの脳に移植して観察した。
 すると、3ヶ月目から手足の震えや動きが改善。移植前にはあまり動けなかったが、歩けるようになった個体もいるなど、4匹すべてで改善した。1年後には脳に神経細胞が生着していた。
 また、2週間かけて分化させたドーパミン神経細胞を移植すると、未分化なES細胞が残っていて腫瘍ができたが悪性ではなく、放射線などで治療可能なものであった。
 成果は米科学誌ステムセルズ電子版に掲載された。
(2012.02.22北海道新聞より)