鼻の細胞で糖尿病改善(ラット実験)

 糖尿病のラットを使った実験で、鼻の奥にある神経幹細胞を採取してすい臓に移植するとインスリンが生成し、血糖値が下がったと、産業技術総合研究所茨城県つくば市)などの研究チームが発表した。
 人間の糖尿病の治療につながる可能性があり、チームは「他人のすい臓の組織を移植した際に起きるような拒絶反応がなく、臓器提供者不足の問題も解消できるのではないか」としている。
 脳などにあり、神経のもとになる神経幹細胞が神経細胞へと成長する過程で働く遺伝子が、すい臓にある別の細胞ではインスリンの生成に関わっていることがすでに分かっている。チームは、ラットの脳と、嗅覚にかかわる鼻の細胞からそれぞれ神経幹細胞を取り出し、2週間培養。ラットのすい臓に移植したところ、いずれも神経細胞に成長し、インスリンを生成していることが分かった。
 生活習慣病とされる2型の糖尿病を発症する実験用ラットは、細胞を移植すると2カ月後には血糖値がほぼ正常値まで低下。その後、移植した細胞を除去すると血糖値は急に上がり状態が悪くなった。
(2011.10.10北海道新聞より抜粋)