函館の「助け舟」久慈着

 東日本大震災で約9割の漁船を失った岩手県久慈市漁港に、函館市内の5漁協から中古の小型漁船(磯舟)228隻が無償提供されることになり、最初の83隻を載せたクレーン船が6月5日、久慈市に到着した。
 山内隆文久慈市長や漁業関係者ら数十人が出迎える中、「がんばれ東北!」と横断幕を掲げた船が港に入ってきた。久慈市漁協の組合長は「一日でも早く漁に出て、函館のみんなの期待に応えたい」と力を込めた。7メートル前後の船は、希望者に配られ、ワカメやウニ、アワビ漁に使われる。
 久慈市などによると、1934年(昭和9年)の函館大火の際に函館市義援金を送った縁があり、今回の震災後では函館市久慈市に支援物資を届けた。その際、函館市の担当者が久慈市で漁船が不足していることを聞き、函館市内の漁協に提供を呼びかけた。
 当初の目標の100隻を大きく超える228隻が集まった。函館市漁協の高谷浩行専務理事は「困った時はお互いさまで助け合ってきた。函館が久慈のような状況になっていたら、久慈の漁師も同じ事をしていたはずだ」と話す。
 久慈市では震災で漁船617隻のうち575隻が流失した。
(2011.06.06北海道新聞より)