福島原発メルトダウン

■週刊誌を読む 大メディアが自己制御
今になって福島第一原発1号機でメルトダウンが起きていたことが発表された。え?という感じだが、専門家によると意外でもないらしい。「週間文春」5月26日号で、大阪大学名誉教授がこうコメントしている。
「専門家の間ではメルトダウンしていることは常識でした。冷却機能を喪失した上、水素爆発も起きているわけですから、メルトダウンしていると考えるのが当然です」「専門家はみな、発表したくない東電が事実を隠していると考えていました」
 事故直後、「安全」「安心」が強調されていた、あの発表はいったい何だったの?という感じだ。「フライデー」6月3日号は「原発は大丈夫」と太鼓判”御用学者”たちの責任」と題して、安心・安全発言をしていた学者を直撃している。その記事の中で元京都大学原子炉実験所講師がこう述べている。「地震発生から間もない段階で、専門の学者は分かっていたでしょうね。彼らは本音とテレビで話す建前を完全に使い分けていますから」
 「週刊現代」5月28日号のコラムで、ジャーナリストの魚住昭さんが、新聞やテレビも「最悪のシナリオ」を承知しながらストレートな報道を手控えていたのだと書いている。「パニックを引き起こしてはいけないという自己抑制機能が働いたのである」。そして続けてこう書いている。「同時に、大メディアが抱える根源的な矛盾に突き当たって愕然とした。社会が破局に直面したとき、メディアは重大情報をストレートに報じられない」
■不信感は相当なもの
 政府の危機管理に対する国民の信頼は既に地に落ちているが、マスメディアに対する不信感も相当なものだ。政府や東電を監視し、チェックするのがジャーナリズムの役割なのに、その機能が果たされていないというわけだ。メディアにとって今の状況は本当に深刻だと思う。
(2011.05.25北海道新聞より一部抜粋)