TPP参加に疑問

■北海道の一次産業である畑作、畜産など農業に重きを置く環太平洋連携協定(TPP)参加に重要な疑問を呈している
 懸念の背景には当然、アメリカ、オーストラリアの大規模な農業の脅威がある。かの地で輸出向けに農業を営むものの1事業所当たりの耕地面積や家畜の飼育頭数は、わが国の大規模農家といわれる営農者が数十戸(最低45ヘクタール必要)集まっても、とてもかなうものではない。おまけにそれらの国は、輸入農産物にあまり関税や課徴金を課したりしないが、多くの場合、自国農家に輸出補助金をふんだんに払っている。日本がTPPの縛りで農業の自由化に踏みきり、関税ゼロで農産物を輸入することになれば、日本の農家はお手上げだ。それでなくても低い食料自給率は、さらに低下の一途をたどるだろう。
■食の安全・安心も問題
 アメリカの輸出向け農業は、遺伝子組み換えで除草剤や病害虫への耐性をもった収量の多い種子を作り、これを軽飛行機で撒き、その後は雑草や害虫の駆除に大量の農薬を散布、収穫は大型コンバインを用いる、といった人手をかけないものだ。酪農も、飼料に成長ホルモンや病気予防の抗生物質を混入、多くの頭数を効率的に促成飼育する。牛肉生産にはそうした飼育上の懸念に加えて、牛海綿状脳症(BSE)の不安がつきまとう。
 こうなると、もう問題は農家だけでの話ではなくなる。食の安全を求める消費者にとってこそ、大問題だ。(かつら・けいいち=立正大講師)
(2011.01.29北海道新聞より一部抜粋)
 TPPの不安が問題があるうち、岩手県宮城県福島県の農業地域の復興は進まないのではないかと考える。政府は東北の農業の復興を望むならTPP参加を考えてほしい。