地震前兆の可能性について

■北大研究グループの観測によると8カ月前から電波異常
 未曾有の被害をもたらした東日本大震災の約8カ月前から、東北地方のFM放送の電波が強くなる電波異常が続いていたことが、北大の研究グループの観測で分かった。道内の過去の大地震発生前にも同様の異常があり、同グループは「前兆現象の可能性がある」とみている。
 観測したのは、地震の予知に取り組んでいる北大地震火山研究観測センター研修支援推進員の森谷武男博士(元北大助教授)のグループ。
 マグチュード(M)7・1を記録した08年の十勝沖地震では、地震発生10日前までの約40日間にわたり通常の2倍の強さの電波を観測。04年の留萌南部地震(M6・1)でも同様の現象が見られた。
 今回は昨年7月ごろから異常を観測、日高管内えりも町札幌市南区の観測地点ではほぼ毎日、岩手県のFM局の電波の強さが通常の2〜3倍になった。
 ただ、地震発生と電磁波、電波との関係は科学的に証明されておらず、懐疑的な研究者も多い。大学教授らでつくる地震・火山噴火予知研究協議会(東京)の森田裕一企画部長は「大事なのは地震発生前に電磁波が出るメカニズムや、電波に影響を与えるプロセスを解明すること」と指摘する。
 森谷さんは「実績を積み重ねることで予知の道が開けると信じている」と話している。
(2011.03.25北海道新聞より抜粋)