失敗は伝わらない

東日本大震災犠牲者数(2011.03.31北海道新聞より)
死亡1万1362人
行方不明1万6290人
■その例は東北三陸海岸で起こった大津波の被害にみることができます。
 明治29年高さ38mの大津波が2万人以上の命を奪いました。
それから37年後の昭和8年の津波は再びこの地を襲います。
明治の大津波の後も同じ場所に暮してきた人々。
津波は再び3000人以上の命を奪いました。
37年前の失敗がまた繰り返されてしまったのです。
 三陸海岸には津波のことが書いた碑が多くあります。その碑にはこんなことが書いています。
「大津波記念碑」その下には「高き住居は児孫に和楽 想いへ惨稼の大津波 ここより下に家を建てるな」
明治29年にも昭和8年にも津波がここに来襲し部落が全滅し生存者はわずか数人。
 ではなぜ石碑がたっているのか?
皆に伝えたいことがあるのに、伝わらないので、また同じことを繰り返して人が死んでいく。そうゆう事が分かっているから、せめて石碑を建てて次の人に伝えたいと思って石碑が建っている。
しかし、その石碑の下に人家がたくさん建っている。
三陸は田んぼや畑が少ないので漁業しかない。家を津波の高さより上にすると登り、降りが大変である。最初は作業場だけであったが、作業が不便なためそれで下に住むことになる。
 ここに住んでいる人は知識として津波が危ないと知っている。ところが、自分が生きている間に絶対津波が来ると思っていない。
そして、あまり考えることはないと思いながら、津波を考えないように、考えないようにしている。そうして日々の生活を送っている。
 津波のこと知っているの?と聞くと「知っているよ」と、じゃ、どうするの?と聞くと「多分俺が生きている間は来ないよ」と答える。
その失敗は時間が過ぎると津波に感心がなくなり、忘れてしまう。
失敗に対する感心や、そんな事やらなくてもいいよ、というのが増加する。そして30年がたつと、ものすごく危なかった事がほぼ消えてしまう。
工学院大学教授 畑村洋太郎さんの語りから一部引用)