箱館奉行所は寒すぎる

寒すぎる箱館奉行所 「幕末」忠実に復元し時に氷点下 苦情相次ぐ
 防寒着を着込んで解説するスタッフ。雨戸を閉め切っているため、自慢の「違い棚」の美しい木目も暗くて見えない「寒すぎる」と苦情が出ている箱館奉行所
 【函館】函館市が昨年7月、国特別史跡五稜郭内に復元し、初の冬を迎えた箱館奉行所で観光客から「寒すぎて十分見学できない」との苦情が相次いでいる。完全復元を原則とする国の方針に従い、幕末期の構造を忠実に再現したため通気性に富み、暖房設備が十分でないためだ。管理する市教委は、文化庁と近く対策を協議する。
 箱館奉行所は1864年(元治元年)に幕府が北方警護のため建設し、71年(明治4年)に解体された。市が27億円かけて139年ぶりに復元。公開後の入場者は21万人(21日現在)で、すでに初年度目標の15万人弱を大幅に超えた。
 ところが、昨年12月ごろから寒さへの苦情が絶えない。職員は「凍えてすぐに退館する人も。苦情は多い日で10件はある」
 防寒対策のため、雨戸を閉めたことも裏目に。室内の照明は最小限しかなく「暗くて展示が見えない」との指摘も出始めた。
(2011.1.22北海道新聞の夕刊より)