広がらぬ有機農産物

 2001年に始まった有機JASの認定制度は一定期間、農薬や化学肥料を使わないことなどが条件で、政府認定の第三者機関の認証を受けた農家は、生産物にマークをつけることができる。
 有機JASの認証を取得した農家によると手間がかかり、価格は割高になるため、味のよさを分かってくれる産直の購入者を開拓し、販売が軌道に乗るまで10年以上かかり、除草や虫取りも大変だと言う。
 消費者にも、必ずしも支持されていない。道内で専用売り場を設けるスーパーも出始めたが、一般の農産物より2〜3割り高いため、「値引きされて、ようやく買う程度」という声が多い。また、「マークのことを知っている消費者は約2割」と知名度もいまひとつだ。
道内で認証をとった農家は300戸と全国では最多。しかし、道内農家の0・6%にすぎず、ここ数年は横ばいだ。道農政部によると、農家の関心は高いが、技術の習得や認証に時間とお金がかかり、栽培記録の作成が必要なことや販路確保の難しさから、踏み切れない農家が多いという。
 今や数千億円から数兆円の有機農産物の市場規模となった欧米各国では、国が栽培農家への手厚い助成など生産コストを負担することで価格が下がり、普及が進んだ。日本では政府が本年度、5年に1度の有機JAS規格の見直しを行うが、普及につながる中味になるか注目される。
(2010.04.24北海道新聞より一部抜粋)
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