甘くない糖尿病の話

 私たちの血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は、上げるホルモンと下げるホルモンの絶妙なバランスにより一日を通して、1デシリットル中60〜140ミリグラムという狭い範囲にコントロールされています。血糖値を上げるホルモンはすい臓グルカゴン、副腎皮膚ホルモン、副腎髄質ノルアドレナリンなど複数ありますが、血糖値を下げるホルモンはすい臓β細胞から分泌されるインスリンしかありません。
 なぜ、われわれのからだは血糖の上昇に対する守りが薄いのか。
 人類の歴史は常に飢餓との戦いでした。いつでも食物が手に入らない状況で、体のエネルギーをきらすことなく生命を維持しなければなりませんでした。脳細胞を低血糖から守ることが重要なため、血糖値を上げるしくみが発達したのです。血糖値を下げることは重要度の低いことでした。
 血糖値を下げるたった一つのホルモン、インスリン。暴飲暴食や運動不足など、現代のわれわれの生活はそのインスリンを分泌するすい臓β細胞に大きな負担をかけています。
 孤立無援のすい臓β細胞は黙々と血中に入ってくれるブドウ糖を処理していますが、限界があります。日本人は欧米の白人と比べてインスリン分泌予備能力が劣っています。その中でも、両親兄弟に糖尿病の患者さん、とくにインスリン治療をしている患者さんがいる方は予備能力が低いことがわかっています。
 あなたのすい臓β細胞は悲鳴をあげていませんか?
 空腹時血糖値で1デシリットル中100ミリグラム以上、または食後血糖値で1デシリットル中140ミリグラム以上あると糖尿病予備軍、あるいは糖尿病かもしれません。
あなたのすい臓β細胞に休息を!
(2010.3.17北海道新聞より抜粋)(北海道医療センター糖尿病・脂質代謝内科医長 加藤雅彦
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