遺伝子組み換え大豆はどこへ消えたのか?

大豆の80%は遺伝子組み換え
 遺伝子組み換え作物の安全性に関する結論はまだ出ておりません。
遺伝子組み換え大豆が安全かどうかは別にして、アメリカやブラジル、カナダでは、大豆作付け面積の約80%が遺伝子組み換え大豆といわれております。
 一方日本人が食べている大豆は、100%近く「輸入大豆」です。いくら多く見積もっても国産大豆は5%程度です。輸入相手国はアマリカ(輸入大豆の7割以上を占める)、ブラジル、カナダ、中国などです。この中で中国ではまだ遺伝子組み換え大豆の商業的作付けは行われておりませんが、アメリカ、ブラジル、カナダでは、大々的に行われておりますから、輸入大豆の中の相当量が遺伝子組み換え大豆のはずです。
すでに私たちの口に入っている
 家畜用の飼料用ではなく、食用品としてかなりの量が輸入されているにもかかわらず、私たちが「遺伝子組み換え大豆を使用した加工食品」を目にすることはほとんどありません。大豆を原料とする豆腐、納豆、味噌などには、ほとんど例外なく「遺伝子組み換え大豆不使用」と書かれております。
 ではいったい、大量に輸入されている遺伝子組み換え大豆はどこに行ってしまったのでしょうか? それは植物油の原料になっているのです。日本で消費される大豆の約75%は植物油の原料になります。
 遺伝子組み換えで問題になるのはタンパク質です。
 大豆油は、大豆から脂肪だけを抽出したものですから、タンパク質は含まれておりません。そのため、遺伝子組み換え大豆を原料として用いられいても「表示の義務」はありません。
 大豆から脂肪を抽出した残りの脱脂大豆(タンパク質が豊富に含まれている)は、飼料になったり、食用としては醤油の原料になります。しかし、大豆のタンパク質は、醤油になる過程で、酵素によってアミノ酸に分解されてしまいます。醤油にはタンパク質は残りません。そのため、醤油の原料として遺伝子組み換え大豆が使われていても、やはり「表示の義務はない」のです。
 誤解のないようにしておきますが、「遺伝子組み換え大豆は安全ではない」といっているのではありません。でも、「出所」と「行き先」は知りたいですね。