活性酸素はばい菌を殺す大事な役割

体にとって欠くことのできない酸素の役割
 呼吸によって体に取り込まれた酸素は血液によって運ばれて、体中の細胞に届けられます。細胞の中に入った酸素はミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官の中に入ります。ミトコンドリアは糖質や脂質などの栄養素からエネルギーを取り出して、アデノシン三リン酸(ATP)という細胞のさまざまな反応に用いる燃料を作る役割を持っている。
 ミトコンドリアに入った酸素は、この栄養素から取り出したエネルギーをATPにため込むための橋渡しの役割を演じています。その際、酸素自体は水に変わってゆくのですが、その中間の段階で酸素分子はエネルギーを帯びた状態です。これを活性酸素といいます。活性酸素はいろいろな化学反応を促進するエネルギーを持っているので、これを利用してATPを作るのです。
 もともと、酸素は物を燃やす力を持っているわけですが、活性酸素はそのパワーがより強力になっていると考えてもよさそうです。血液などでばい菌などを退治する白血球は、この活性酸素を大量に作って、そのパワーでばい菌を分解殺菌しています。
 こうしてみると、活性酸素は人の体にとってとても大事なものです。でも、もし活性酸素ができすぎると今度は人の細胞自体を壊すので、普段は活性酸素を除去する酵素が働いて、細胞を守っています。
 「活性酸素はがんの原因」などといろいろ言われていてすっかり悪玉となりましたが、一方で大事な役割を演じているのです。
北海道新聞2010.1.13一部抜粋)(札医大医学部長とうせ・のりつぐ)
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