排便のメカニズムについて

排便のメカニズム 複雑な反射の連係プレー
 人は朝起きて体が覚せいした後に朝食を食べて胃に物が入ると、結腸の蠕動運動が活発になります。これを胃結腸反射と呼んでいます。胃結腸反射によって便が結腸に送り込まれます。直腸に便が降りてくると直腸に圧がかかり、直腸の壁にあるセンサーが刺激され便意を感じます。このセンサーは非常に敏感で、固形便か液状便なのかあるいはガスだけなのかを識別できます。
 大脳で便意を感じると、まず排便できる状況にあるかどうかを判断し、排便体制に入るか我慢するかの命令を下腹部に出します。
 排便体制に入っているときに直腸に便が流入すると直腸が収縮し反射的に内肛門括約筋が緩み排便が開始されようとします。これを直腸肛門反射と呼んでいます。また直腸に便が流入すると、便をまとめて出そうとするためにさらに結腸の蠕動運動が活発になり、どんどん便が直腸に送り込まれます。これを直腸結腸反射と呼んでいます。
 そこで排便するために息んで腹圧をかけると、直腸内圧が上昇するとともに反射的に外肛門括約筋も緩み、また直腸と肛門の角度が拡大し排便がスムーズに開始されます。便が肛門を通過している間は内、外肛門括約筋の弛緩は持続しますが、便が排出された後は外肛門括約筋が収縮し、肛門が閉じることによって排便は終了します。排便が終わり直腸が空になると快便感が得られ満足します。
 このように毎日なにげなく行っている排便という行為も、多くの神経を介した複雑な反射の連係プレーによって成し遂げられているのです。(札幌いしやま病院副院長)
(2009.10.7北海道新聞より抜粋)
http://www2.odn.ne.jp/yacon/kouno.htm(ホームページへ進む)