日本の7人に1人が貧困状態

日本の7人に1人が貧困状態 15・7%で98年以降最悪
 厚生労働省は20日、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を初めて発表した。2007年調査は15・7%で、7人に1人以上が貧困状態ということになる。18歳未満の子どもが低所得家庭で育てられている割合「子どもの貧困率」は14・2%だった。
 厚労省は今回、1998、2001、04の各年(調査対象は前年)に関しても計算しており、07年の全体の相対的貧困率は98年以降で最悪、子どもは01年に次ぐ水準だった。
 長妻昭厚労相は同日の会見で「子ども手当などの政策を実行し、数値を改善していきたい」と述べ、同手当を導入した場合に貧困率がどう変化するかの試算も今後公表することを明らかにした。
 相対的貧困率は、全人口の可処分所得の中央値(07年は1人当たり年間228万円)の半分未満しか所得がない人の割合。全体の貧困率は98年が14・6%、01年が15・3%、04年が14・9%。07年は15・7%と急上昇しており、非正規労働の広がりなどが背景にあるとみられる。
 子どもの貧困率は、98年は13・4%、01年に14・5%でピークに。04年13・7%、07年14・2%だった。子どもよりも全体の貧困率の数値が高いのは、年金だけで暮らす低所得の高齢者が含まれることが主な理由とみられる。
 政府は60年代前半まで、消費水準が生活保護世帯の平均額を下回る層の増減などを調べていたが、その後は貧困に関する調査はしていなかった。政権交代で就任した長妻氏が今月上旬、経済協力開発機構OECD)が採用している計算方式での算出を指示。厚労省国民生活基礎調査の既存データを使い算出した。
 08年のOECD報告では、00年代半ばの日本は14・9%で、加盟30カ国平均の10・6%を上回り、メキシコ、米国などに次ぎ4番目に高かった。
相対的貧困率
全国民の中で生活に苦しむ人がどれだけいるかを示す指標。
所得分布中央値の半分未満の所得しかない人が全人口に占める割合を示す。「所得」は、収入から税金や社会保険料などを除き、就労時間や財産所得のほか公的年金などの社会保障給付費を合計した金額。所有する財産は含まれない。
今回、厚生労働省国民生活基礎調査の既存データを使って、1998年から3年ごとの相対的貧困率を計算した。
(2009.10.20北海道新聞夕刊より抜粋)