化学物質過敏症3/3

◎ごく微量の化学物質にも反応、体調不良に。多い女性患者。
北里研究所病院臨床環境医学センター(東京都港区)坂部貢センター長 ■相模原病院臨床センター 長谷川眞紀副センター長
★「引越しをしたあと、頭痛、めまい、鼻水などの体調不良が続いています。シックハウス症候群でしょうか」
A子さんは築3年の一戸建て住宅を購入。床や壁などを少しリフォームして入居した。引越し後から目の疲れや肩こり、頭痛、倦怠感に悩まされるようになった。やがて、たばこの煙や芳香剤、印刷物のインクなどのにおいをかいでも気分が悪くなった。
上記のセンター長に診てもらった。
●対策は、「家の治療」と「体の治療」の二本立てになる。今回は体の治療。
体の治療では、化学物質の代謝や排出に有効な薬剤やビタミン、ミネラル類を服用するとよい。
「有害な化学物質のダメージを受けると、体内では酸化ストレス(酸化力が抗酸化力を上回た状態)が増幅されるので、抗酸化や解毒にかかわるビタミンやミネラルが減少しがちです。治療ではこれらを補い、解毒を助ける薬も投与します」よく用いられるのはーーー
○グルタチオン(商品名タチオン):肝臓での代謝にかかわる酵素を活性化させ、体内に入った化学物質を排出しやすくする薬。急性中毒などにも用いられる。
亜鉛:粘膜を保護したり、解毒を助けたりする。血液検査で不足していることがわかったら、点滴で補う。
○ビタミンC:抗酸化作用や粘膜保護作用がある。服用量は1日2000mg程度。重症例にもっと多い量を点滴することも。
○ビタミンB12:抹消神経機能の改善作用がある。
また、運動も効果があると坂部センター長は言う。
「患者さんは自律神経失調症のような状態に陥っていることが多い。運動は自律神経機能を刺激し、代謝も亢進させます。また汗をかくことで、化学物質が体外に排出されやすいという利点もあります。」
A子さんもこれらの治療と1日30分程度のウオーキングなどを続けたところ、3ヶ月後くらいから症状が軽くなってきた。換気などの環境改善も奏功し、1年後に再びTVOCを測定してもらったおころ、ほぼ指針値に。このころには、シックハウス症候群専用の症状スコアも、当初の半分程度まで減少し、体調もかなり改善していたという。終了
※ビタミンB12は残念ながら野菜には含まれていない。B12を多く含有する食品は1位あさり(水煮缶詰)2位あま海苔(焼き)3位牛レバー(生)4位かき(生)5位さんま(生)6位いわし(蒲焼、缶詰)、鶏卵、牛乳、魚類にも多く含まれます。
ビタミンB12の働きについては11月5日の日記をご覧下さい。