市民農園(札幌市郊外)

◎札幌市郊外の市民農園団塊世代による市民農園の需要増加。
 食に対する安全、安心志向の高まりや帰農ブームの影響で、札幌市郊外の貸農園(市民農園)で農作業を楽しむ市民が増えている。土地を貸す農家にとっても、農業者の高齢化や担い手不足で耕作できない遊休農地を有効活用できるため、市民農園は今後もさらに増加しそうだ。
 市民農園整備促進法に基づき農家が開設する市民農園は、現在市内で十六カ所、計2297区画。
 市から給排水施設や農機具保管庫など設備整備費の半額(最大50万円)の助成を受けられるため、1997年に手稲区に開設された「市民農園すなやま」以来、市内各地で増えている。
 年間利用料は一区画50平方メートルで1万〜1.2千円。郊外の農地が対象なので移動には車が必要だが、春先の畑起こしを土地所有者の農家がやってくれることに加え、トイレや駐車場、給排水施設が整っていることから人気は高く、利用率は97.3%とほぼ満杯だ。
 市農政課によると、2005年の市内の農家戸数は1268戸と、20年前の半数以下。農家の高齢化も進む中「遊休農地を放置しておくより、少しでも収入になる市民農園にしたい」と、農地を市民農園にする例が大部分だという。
 農園でじゃがいもやナスなどを栽培する、豊平区平岸の会社員(68)は「毎週末、作業に訪れますが、気分転換と健康づくりには最適」と語る。
 市は、団塊世代の大量退職時代を前に「市民農園の需要はさらに増える」と見る。しかし、農業従事者の減少や高齢化がこれ以上進むと、農園管理すら困難になる恐れもあり「将来的には、農家が市を通して農地を企業や民間非営利団体NPO)に提供し、農園を開設してもらう『特定農地貸付法』に基づく市民農園が増えるのではないか」(農政課)と話している。
北海道新聞一部抜粋)